お寺?神社?大社? 知っておきたい日本の神様 ~Message~

 

先日、久しぶりに、山梨県にある身延山に行った。

 

ここは、日蓮宗の総本山で信仰の聖地である。

久遠寺が中心で極楽の世界がある。

 

内部に「浄財」を寄進する箱が設置されている。

 

この木箱の前で、2つほど柏手を打っている人がいた。

 

私は驚いて「ここは神社じゃないよ!」と注意してやろうとしたが、黙って見ていた。

 

・・・そうだ、神社も仏閣も、区別がつかない時代になったのだ。

 

 

① 秋祭りでの奉納品

秋祭りである。

 

遠くでポーン・ポーンと花火が上がっている。

 

私も村社の祭りに奉納金を持参した。

強制ではないが、近隣へのお付き合いである。

 

「お神楽」を奉納する子供たちが、神主の指示を受けて集まっていた。

神社には、「お神酒」と「五穀」と「果物」が奉納されていた。

 

「あれれ?」と思ったのは、リンゴやミカンの間に、バナナがあったからである。

 

神様には、地元で採れた収穫物を、感謝を込めて奉納するはずだから、外国産のバナナは、主旨に反するのだが私は黙っていた。

口を出すと女房に叱られるからである。

 

 

② 勤労感謝の日ってどんな日?

 

11月23日は「国民の祝日」として休日になっている。

 

休日が安定しない昨今であるが、この日だけは珍しく変わらない。

 

私が小さな頃から「勤労感謝の日」といった。

 

なぜ、この日が勤労を感謝する日になったのか。

 

「新嘗祭」(にいなめさい・しんじょうさい)の日だからである。

 

宮中で、天皇陛下が、みずから天神・地祇(ちぎ)に、今年の収穫に感謝し、翌年の豊穣を祈願する祀りをする日だからである。

 

古い時代には「陰暦11月の卯の日」に行われたといわれるが、戦後になっても宮中祭祀(きゅうちゅうさいし)をして、重要な祈りの場になっている。

 

 

③ 「仏教」と「日本の神様」

「仏教」は、もともとインドから中国・朝鮮を経由して日本に入ってきた宗教だから

外来宗教である。

 

仏式の葬儀に行くと、明らかに神道の式とは異なる「オト」「イロ」に出会う。

 

神式の「霊」を呼んだり、送ったりするオトは、素朴で自然と一体であるが、仏式は様式美として昇華されている。

 

神道と仏教。

 

この異なる発祥を持つものが、私たちの生活の場では、融合し、当たり前に共存している。

 

長年かけて、本地垂迹(ほんじすいじゃく)説・神仏習合が進められたからである。

難しくとらえる必要はないが、基本のイ・ロ・ハくらいは理解しておきたい。

 

 

「日本の神様」についての記録は、「古事記」「日本書記」と各地の伝承を記録した「風土記」によるものである。

 

日本各地には、出雲をはじめ、何らかの信仰や伝承があった。

 

「さん」と呼ばれる山(富士山・御嶽山・三輪山など)は、ヤマ自体が信仰の対象だったし、川・河も信仰の対象だった。

 

だから、「ヤマ・カワ」を鎮める神様を祀る場所が神社として、全国各地に存在したのは、当たり前のことだ。

 

 

④ 「社」とは人が集まるところ

 

「社」とは、人が集まるところという意味である。

 

神様の前で、多くの人が集まる場所が「神社」のスタートになったこともわかりやすい。

 

だから、今でも、人々が集まっても「安全な小高いところ」に神社があるところが多い。

 

私が住んでいるところは、大井川が蛇行した地域だから、「村社」も山間にある。

 

人々は、荒れ狂う大井川を鎮めるために、この神社に集まり祝詞(のりと)をあげたに違いない。

 

宮崎駿の「もののけ姫」・「千と千尋」は、このような知識をベースに作られている。

 

 

出雲大社  

 

⑤ 「~大社」は奈良時代から!?

 

奈良時代「延喜」(927年)に、律令制度を徹底するために、全国・地域にあった神社をランク分けして一覧表に整理した。

 

これが「延喜式」と呼ばれるもので、日本で一番古い神社の記録である。

 

プラリと、大きな神社を訪ねてみると「式内」と書いてあるものがあるだろう。

 

これは「由緒ある神社ですよ」という意味である。

 

大きい社のことを「大社」という区分けも、これに由来する。

 

これ以上は、自分で調べるといい。

私が奉納した神社は、当然、式内ではない。

 

 

知っておきたい日本の神様

 私たちに直接関係する神様は

 

「伊弉諾(いざなぎ)」・「伊弉冉(いざなみ)」からである。

 

この二神がオノゴロ島に降り、結婚して様々な神様を産んだ。

 

おなじみの「黄泉の国」・「お祓い」「お清め」などの発祥の原点である。

 

そして、アマテラス・スサノオの代になる。

 

アマテラスの孫である二二ギが日向に降臨し、「このはなさくやひめ」と結婚し、有名な悲劇と続く。

 

二二ギの子供である「山彦・海彦」・・・を知らない人はいないと思うが、どうも、日本の神話を理解していない人が多くなったようである。

 

だから、「お寺」で柏手(かしわで)を打ったり、収穫祭にバナナを供えたりするのだろう。

 

が、宮中の新嘗祭・勤労感謝の日・祝祭日の関係くらいは理解しておきたい。

 

手塚治虫の「火の鳥」黎明編は、神話を理解する手引きになるので勧めたい。