すごい戦いだった。
GPファイナル・フィギアスケートの選手たちの戦いは、激しく華麗の中に「折れない心」と「闘争心」の競い合いだった・・・。
その中で、羽生結弦・宮原知子・宇野昌磨選手の「挑戦」とその「成果」は、受験に対してだけでなく、人間として「大切にしたいこと」を教えてくれた。
一言、見事だった。
これは「リオ五輪」で活躍した選手たちにも通じるものだ。
内村航平選手・錦織圭選手・男子400Mリレーの選手らの活躍である。
不可能を可能にする「挑戦」と、それに導かれた「成果」である。
私は、彼らのことについても、「これまでのメッセージ」で書いてきたので、改めて読んでいただけたらありがたい。
ポイントを3つにまとめてみよう。
POINT1 プレッシャーとの闘い
1つ目のプレッシャーは、多くの人からの「期待」である。
期待にそった結果を出したい。
出さなければいけないという厳しさである。
いつも羽生選手は「ありがとう!」というが、これは「期待への感謝だ」という。
が、これはとてつもなく重い。
プレッシャーを力に変えるには「強い意志」と「努力」が要求される。
受験でも人生でも同じである。
期待に潰されないように、自分を鍛えなくてはいけない。
2つ目のプレッシャーは、自分自身に賭けた「夢」である。
夢を実現する道程の不安である。
これを、宇野選手は「眠れない」と表現したが、このプレッシャーは睡眠剤を飲んでも効かない。
焦りが恐怖につながる。
宇野選手は、自力で「立て直して」リンクに戻ってきた。
簡単ではないが「開き直った」のだろう。
そうするしかない。
3つ目のプレッシャーは、ライバルとの「競争」である。
高いレベルの戦いになればなるほど「ライバルの強さ」がよく見える。
宮原選手は「GPにラストに選ばれた選手」と自分を表現したが、この試合のライバルは一筋縄ではいかない。
強烈なプレイヤーたちばかりで「これまで勝ち切ったことがない人」ばかりのグループだ。どのように戦ったら勝つことができるかわからない。
だから、最善を尽くしたプレーができたらガッツポーズをすると「自己暗示」をかけたのだろう。
小さなポーズに誇りがあった。
君も受験成果に「ガッツポーズ」をしてほしい。
まずその戦いの準備を怠らないことである。
手抜きをしては勝てない。
夢は実現するためにある。
POINT2 駆け引きをする
受験では、出願大学の傾向を調べ、対策を練る。
これが「駆け引き」である。
得意科目を頑張って、高得点を狙う。
攻めの学習をすることだ。
フィギュアスケートで「出来栄え点」を稼ぐことと同じである。
得意技で通常以上の得点を稼ぐ。
そこで「差」をつける・・・。
ロシアのメドベジェワ選手は「片手をあげるジャンプ」をする得意技を駆使して高得点を稼いでいる。
それで圧倒的な差をつける。
アメリカのネイサン・チェン選手は多様な「4回転の技」を成功させて銀メダルを獲得した。
羽生選手も宇野選手も、勝つための技を磨く必要がある。
フィギア競技の生命線は、技を超えた「美」の追求であることに変わりない。
究極は「美しい」ことである。
受験勉強も同じである。
今回は、演技の順序が勝敗に影響した。
先にプレーした若い選手の高得点を見て、ベテラン選手が転倒した。
「焦り」なのか、勝つチャンスとみた「力み」なのかわからないが失敗した。
受験でも、人生でも「焦り」と「力み」は紙一重である。
ベストコンデションにコントロールするしかない。
しかし、若い時の「怖さ知らず」のプレーが、いつまでも続くことはない。
「今回、失敗したからこの選手はダメだ」ということはない。
強さとは、再び「立ち上がる力」でもある。
だから、弱点に気が付いたらカバーする態勢を取り、「折れない心」の持ち主になることが最上である。失敗しない方がいいのは決まっている。
競技も受験も同じである。戦う時はしっかり戦う人間でなくてはいけない。
POINT3 達成感 そして「次」に実現すること
目指したものをやり遂げた達成感ほど、次のエネルギーになることはない。
それ以上のものは「達成感の延長線上」に生まれる。
羽生選手が、ネイサン・チェン選手の4回転を見て、「まだまだ、自分にはマスターするべき技がある」といっていたが、この率直さが彼の強みなのだ。
宮原選手も宇野選手も、「達成感」と「やり残した点」を理解している。
彼らは、これからも進化するだろう。
満足したら、その地点で終わりである。
進歩・発展のためには<BestよりもBetter>がいい。
だから、受験でも「合格できるところ」を確実に決めることが重要である。
自分の弱点が理解できない受験生であってはならない。
競技選手は、「一人で戦っているのではない」
技術指導のコーチもいるし、フィジカルコーチもいる。
食事の管理をしてくれる人、移動の手配をしてくれる人、衣装を整えたり、各種の連絡を取ってくれたりする人もいる。
これらを合計すると、一人の選手の後ろに10名以上の人がついているという。
チームで戦っているのだ。
これは、スポーツ競技の選手ばかりではない。
受験生も同じである。
沢山の人のお世話になって受験日を迎えるのだ。
とかく、自分だけのことでギリギリしがちであるが、錯覚してはいけない。
羽生選手が「ありがとう!」という言葉を頻繁に使う理由は、自分だけで戦っているのではないと心に命じているからだという。
「感謝の気持ちで滑る」のだという。
他の人に「感謝できない人」は、どの分野でも強くなれないということだろう。
若いのにたいしたものだ!
受験でいえば、学校や塾で学習指導をしてくれる人、食事の世話をしてくれる家族、友人・知人に「ありがとうといえる受験生」にならなくてはいけない。
自信がなかったら「できる・できる・できる」と唱えて自己暗示をかけるのもいい。
18歳になって、初めて体験する全国戦争である。
自分の強みを磨き、諦めない心をもって、最後まで「挑戦」をしてくれることを期待している。
「成果」は自ずからついてくるだろう。
それが人生だから・・・。
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