人を動かす3つの原則

私たちは、どんな時に、どんな行動をするか。

 

大人も子供も、考えたことを行動に移す時は、共通したものがある。

 

泣いている赤ちゃんが欲しがっているのは「ミルクなのか。オシメの取り換えなのか」

 

母親は、赤子の泣き声にそって判断し、最適な行動とる。

 

このように、必要なものをスピードよく見ぬき、的確に行動することが重要である。

欲しいものを与え、期待していることに応える。

 

そして幼子は育つ。

 

(1)人間の行動には必ず「理由」がある

私たちは、理由がないことには行動しない。

 

「盗人にも5分の理がある」といわれるような社会的に非難されることをした人でも、必ず「自分は正しい」と思っている。この「理由」を抜きにして動かそうとしても、絶対に動かない。

 

安易な思い付きのように見える行動にも、必ず「動く理由」がある。

多くの場合は、友達が欲しい・他人より目立ちたいというような「社会的な理由」が多い。

勿論、食べたい・飲みたい・眠りたいというような「生理的な理由」もある。

が、自尊心・プライド・自己顕示欲などが深層にある場合が多い。

 

 

私が知っているA君はものすごく勉強して大学に入り、会社を起業して社長になった。

彼の口癖は「やればできる」であった。

苦労したとか、努力したとかいわない。

理由・ホンネは、貧しい家庭に育ったので「金持になりたい」と強く思っていたからである。

彼はいつも平気を装っていたが、深層は違う。

 

 

Bさんは複雑な家庭に育った。

だから、「温もり」のある仕事に就き、家庭を持ちたいと言っていた。

成績優秀なので「医者になれ」と助言したが、小さなころ優しかった「祖父の面倒をみたい」といって看護士になった。

結婚して家庭も持った。

彼女はプライドをもって仕事と家庭を両立させて輝いている。

 

動く理由は複雑に絡み合っているようにみえるが、煎じ詰めていくと深層は「シンプル」な場合が多い。

「勉強しろ」と上から目線でお説教するのではなく「勉強したくなる理由」を発見し、その行動を支援することで充分である。

批判したり、非難したり、苦情を言っても人間は動かない。

 

「人を動かす:原則1」である。

 

(2)他人に「認められたい」と強く思ったときに行動する。

私たちは、「自分を大切にしてくれている」と感じている人を大切にする。

裏切らない。率直に評価してくれる人に好意を持つ。

これは立場や利害を超えている。

認知欲求を満たしているからである。

 

逆に、一番つらいことは「無視される」ことである。

大谷翔平選手が、大リーグで「サイレントトリートメント」を受けたニュースがあったが、これは「無視するという祝福」であって破格のことである。

 

親しい関係だと信頼していた人から「知らんふり」をされたら傷つく。

その後どのよう繕ってきても心の修復はできない。拒否された眼差を忘れられないからである。

私たちは、いつも「認められたい」「無視されたくない」という欲求を持っている。

渇望である。

私を「大切にしてくれている」という実感が欲しい。

だから好意を言葉・態度で示すことが「人を動かす:原則2」である。

 

人肌で交流した記憶は消えない。

だから、肩を寄せ合う・同じ釜の飯を食う・ふれあいが大事だという言葉が使われるのである。

スポーツのハイタッチ・AKB48の「握手会」など身近に沢山の例がある。

選挙の時、政治家はこれを有効に使っている。

 

成績が悪い生徒に向かって「勉強しない理由」を問い詰めることはムダである。

言い訳・理由を、彼に寄り添って聞くことから出発して、その後から「やってみよう!」という気にさせることが重要である。が、そのまま放置してはいけない。

実施したことを評価し、支援して初めて「認知したこと」になる。

 

教員をやっていた時、C君の成績が下がったので厳しく叱ったことがあった。

私の叱責に対して、彼は黙ってうつ向いているだけだった・・・。

 

半年くらい過ぎて、ある日のことだった。

いっしょに放課後の掃除をしていたC君が「先生。あの時ごめんね」といってきた。

「あの時ね。お父さんが足の壊疽で入院して、お母さんも倒れてしまったので、僕が食事をつくったり、洗濯したり、弟の弁当を作っていたので、自分の勉強ができなかったんです。黙っていてごめんなさい」。

私は何も言うことができなかった。

なんと恥ずかしい教員だったか。

いまも忘れられない。

 

上から目線で「~~であるべき」を押し付けるよりも「あなたのことを一生懸命に考えている」ということが伝わった時は、必ず人は行動で応えてくる。

 

(3)必要としているものを「入手する方法」を理解したときに行動する。

誰だって「何かを欲しがっている」。

誰が、何を、いま必要としているか。

必要なもの・強い欲求を起こしているものは何かをハッキリと意識し、それを入手する方法を理解した時に人は動く。「人を動かす:原則3」である。

 

分かり易く言えば、どんな人でも、食事をしたい・トイレに行きたい・眠りたい・水が欲しい等という生理的な欲求を持っている。

こんな時はどうするか。

海外旅行で一番困るのはトイレ探しである。

どこに食べ物があるか。水があるか。

これを、受験やビジネスに応用して考えればいい。

必要としているものをスピードよく、最短で入手する方法がわかれば、素早く人は行動する。

 

受験生は「合格切符を欲しがっている」。

現役生は「成績を良くしたい」と願っている。

いや渇望している。

 

それを入手する方法をスピードよく提供することが「人を動かすポイント」である。

当たり前のことであるが、これが速やかにいかないところが問題である。

いつだって「相手の立場に立って入手方法を示す」ことである。

努力しよう!

 

 

塾・予備校の良し悪しは、豊富な情報・資料と優秀な指導者の有無で決まる。

LEADESTは、この点を強く意識して努力していると聞く。

 

<人を動かす:原則1・2・3>を活かして発展する塾であると確信している。

勿論、私も積極的にかかわっていく。

 

この混乱期の教育には、毅然として立ち向かう姿勢が要求されている。

校外教育の充実が必須である。