もちろん、誰にも分らない。
しかし、傾向なら読むことができる。
いま行われている「進研模試」「全統模試」。
そして「過去の実績」・「地域の特徴」などを総合して、今後の流れを“私流”に予測することは可能だ・・・。
判断ベースは「2018年度の合否追跡」である。
今後、11月にベネッセ・河合塾は「2019年度の傾向」を分析・報告する会を持つ。
学校の先生・塾は、それをみながら、生徒の志望校を絞りこんだり、出願校を決める助言をする。
私立大学への出願は、10月までに基本は決めるべきだ。
だから、夏休み前に、志望校を固め、目標にそって態勢を整えることだ。
最終決定をしなくてよいから、目標を定めて勉強を進めること。漠然とした学習は非効率である。
高校生から「受験生になる」のが「いま」である。
その前に推薦入試・AO入試が始まる。
資料と必要書類を整えよう。
LEADESTは、このタイミングで本格的に受験態勢に入るという。
賛成である。
こうした時は「面談」と「合格達成スケジュール」が基本である。
個別指導塾の特徴を生かして「過去問から割り出した教材」を効果的に使う。
スマホなど、「新しい武器」を利用するというが、とても良いことだ。
手元にあるものは、ベネッセ・河合塾という大手の2社の「2018年の合否追跡」のデータである。
他社には基本データがない。
11月の報告会ができない。より「詳細のデータ」・「資料」はLEADESTの前川代表に提供した。
面談などで有効活用してくれるだろう。
① 今年も「文系の志望者」が多く、私立大学の「併願」は増えるだろう。
経済の動向が、受験者に直接的な影響を及ぼすから、現在の景気動向をみると今年と大きな変化は考えられない。
アメリカの景気に左右されて、日本経済は揺れ動いているが、急に好景気になることも、パニックになることもないだろう。
誰だって、戦争をやったら人類が滅びることを承知しているはずである。
2019年も「経済・経営・商学部系が人気」だろう。社会が安定してきたら、法学・政治系が人気出るだろう。
あまり「流行」に左右されない方がいい。
純粋な文学部系より、スキルをマスターする「外語系」の人気は上昇するだろう。
グローバル社会・東京五輪を通して「ニッチな語学系」に人気が出るかもしれない。
自動翻訳機が活用する時代である。機器を使いこなすスキルを要求されるから、多方面への関心を広げたい。
経済・経営・商は統計学など「理数系」のセンスが要求されるから、「数学に苦手だから文系」というわけにはいかなくなるだろう。4年後を見据えて志望校・学部・専攻を決め、出願することが大切である。この点は「不易」だ。
② 私立大学の「入学定員の厳格化」で合格者の「絞り込み」があるだろう。
2018年度は、早稲田・明治・中央・法政・東洋大学と日大が沢山の受験生を集めた。
2019年の「台風の目」は当然「日大」だろう。受験生がどのように反応するか。
他の大学にどのように「流れる」のか。
「ブランドは変わらない」のか。
日大との併願・受験者・合格者・入学者のそれぞれを学部・専攻別に及ぼす影響は多大だと思うが、まだ流れが見えてこない。
2019年度も、大都市、特に「首都圏の私立大は合格しにくい」だろう。
定員を超過すると、政府の補助金がなくなるからである。
マンモス大学のうち数校は、「補助金はいらない。合格者をたくさん出せば、補助金より沢山の収益がある」という姿勢でいるが、多額の補助金は経営に直接響くから「定員の1.1倍を厳守する大学」が多いだろう。
すると、グレーゾーンの受験生の合格確率は確実に下がる。「受験競争は激化」する。しっかり受験学力をつけないといけない。
2019年度も、早慶上智⇒MARCH⇒日東駒専・関関同立⇒産近甲龍などは学生が流れるだろう。
「志願者は増えても合格者は減少する」から、青学・京都産大・早稲田はどうなるか。
地方の私立大学への流れも確実に起きている。変化に注目したい。
理系の「農」・「薬」の倍率変化が少ないと思うが、変化がある
薬学部の動向は、今後の様子をみたい。政治問題になっている大学のことはわからない。
市場原理が働くだろう。
こうした中で「推薦・AO入試で確実に合格しよう」とする流れが強くなるだろう。
「志望理由書」が重要なポイントになる。
しっかり論述すること。練習をすることだ。
建学の精神・学部の専門性を踏まえて、説得力のある書き方をマスターしよう。
大学は「目的意識が高い学生」を求めている。
私立大学は,合格者を絞り込み、「補欠合格を増やす」という方法を取るから、なかなか落ちつかない受験生が沢山出るだろう。「補欠合格しているから大丈夫だ」という楽観は禁物である。どの程度で合否が決まるか。これはやってみないと分からない。「いままでは合格」していたグレーゾーンの学生が軒並み不合格になるから、「過去の実績」「指標」はあてにならない。
併願を増やす流れが大きくなるだろう。
③ 今年も「センター方式」を受験する人が多いだろう。
「セ試」方式は、沢山の受験生を集めるだろう。
入試センターの発表では、7科目以上受験者は、2015年以降は横ばいで、3科目以下の受験者が増えている。
この流れは2019年度も継続するだろう。
受験者の立場だけでなく、私立大学の経営者は膨大な受験料が入るだけでなく、入試の作問も受験会場を準備する必要も、運営する手間もいらないから、この流れは簡単に止まらない。
しかし、「セ試」だけで合格を勝ち取ろうとすることは危険である。実際に、定員のうち何人を合格させているか「合否追跡表」見ると分かり易い。
素人の人には提供しないが、大学・学部・専攻別に<募集人数・志望者・合格者・割増率・合格者の平均得点>などまとめた資料がある。
これを、LEADESTの前川代表に提供してあるので利用するといい。
ちなみに、近隣の塾にはないだろう。
④ センター出願は科目を絞らないこと
しかし、アラカルト方式で科目を絞って受験する人は「科目の選択」に注意しなければならない。
センター試験が終わって、志望校判定が「C」「D」「E」になると、出願予定校を変更しなくてはならなくなる。
受験ができなくなるケースが、毎年みられるのである。
作戦としては、高得点が取れなくても、広い視野で「受験だけはしておく」といい。エントリーの幅が広がるからである。
留意点は、文系の人は「地歴」「公民」、理系の人は「物理」「化学」「生物」の選択科目を間違えないこと。特に「地歴」を捨てて「公民」だけとか、理系で「生物」だけでは「出願できない大学」がある。
非常にもったいないので気をつけたい。いまから「センター60点」を目標に努力すれば間に合うだろう。
また、国公立大学では、大学別の2次試験、前期入試の「定員」と、後期の定員で大きな差がみられる。
「前期勝負」の大学・学部なのか、「後期」に定員のウエイトをおいている大学か。
合格可能性が変わってくるので注意したい。小論文や面接と合わせて考えていきたい。
⑤ 教育学部の再編成の波が来ているから、教員になりたい人は注意する
全国の都道府県の大学に「教育学部」がある。
子弟の教育をつかさどる人材の育成を目的としている学部である。
義務教育の教員の大半は教育学部の出身者である。旧師範学校の流れである。
しかし、文科省の大学の統廃合の政策を展開している。
すでに、北海道の3つの大学の運営が統合されることになった。
教育学部に合理化政策(アンブレラ方式)で、再編成の波が押し寄せている。
数年前に、教員免許証を出さない学部が廃止されたが、今回の国公立大再編成は財務の関係がベースにあるので本格的だ。
教員志望の人は、こうした流れに留意していきたい。就活で苦労するからである。
教育学部の「受験の易化」であると安易に受け止めることは禁物である。
少子化が進み、教育界も派遣教員・非常勤教員が増加するだろう。
小学校の英語・プログラミングの授業など、専門性が多いので、正規教員の採用幅も変更するだろう。
→後編へつづく
文:顧問 安達昌二
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