「壁」にぶち当たったときの対処法

人は、何度も、何度も「壁」にぶち当たる。

 

避けたい!!逃げたいと思っても、壁は先方からやってくる。

「いい加減にしてくれ!!」といってみても始まらない。

 

じゃどうしたらよいのか?

 

長いのか、短いのか、人生は捉えようで何とでも取れる。

 

「壁」を乗り越えたと思っても、形を変えて迫ってくる。

 

不安・恐怖・焦りが、壁の原因である。鋼鉄のような壁、霧のよう壁・・・。

 

受験の壁を含めて、壁に突き当たった時の「転換のヒント」を考えてみよう。

 

(1)「壁」を意識したら、自分の呼吸を「10」数える。

ともあれ、落ち着いて左・右・前・後を「観る目」を確保することだ。

時には斜めから、上からの眼、下からの眼も欲しい。

 

壁の実態を知らなくては「対処の方法」がわからない。

「できなかったらどうしよう」というテスト直前の壁は、受験生が誰でもぶち当たる壁である。

この壁が結構厚い。

「不合格になったらどうしよう!」と先々のことまで不安になる。

壁はドンドン厚くなる。

問題用紙が配られて、緊張で頭が真っ白になったと感じたら、まず「10数える」とよい。

すぐに答案に手をつけず、問題全体を観る。

そして、冷静になったところで、得点が確実に取れるところから解き始める。

一気に、むきにならないで、冷静さを取り戻すことが大切である。

 

ともあれ、壁を意識したら、どんな場面でも、「全体を冷静に観る」ことから始めるがよい。

不安・恐怖・怒りなどを運ぶ「ノルアドレナリン」は神経伝達物質である。

壁にぶちあたったり、イラッとした時は、ノルアドレナリンが作用していると考えてよい。

これが体内を回るには6~8秒かかるといわれるから、イライラしたり、胸がドキドキしたりして落ち着きを失った時は「10数える」とよい。

 

落ち着きを取り戻すことができるからである。

壁が消えていくだろう。

 

(2) 壁は乗り越えるためにあると、考える

プロ野球のイチロー選手・長嶋選手・王選手なども大きな壁に突き当たり、それを乗り越えたから一流になった。

 

「打率3割」をキープすることは難しい。

1打席ごとに全力でボールに向かい、必死になって食らいついて「壁」にぶつかっていったはずである。

しかし、全打撃の30%を超すことがなかなかできない。

これが「壁」である。

 

大リーグの大谷選手は「オオタニシフト」で苦しんでいるが、きっと乗り越えていくだろう。

かって王選手が「王シフト」を超えるために、飛行距離を伸ばしてホームランバッタ―になった。

これが壁を乗り越える手段だった。

そして、世界のホームラン王になった。

 

大谷翔平選手も同じように「何かを極める」だろう。

一流選手になる壁は薄くない。が、壁は乗り越えられるだろう。

 

甲子園野球 <大阪桐蔭 VS 作新学院> の試合を見ていた。

両高は、東・西の高校野球の雄である。

グランドで選手の顔が真っ黒に輝いていた。

高校生のチームには「甲子園に出場する」ことを目標にしている学校が多い。

そのなかで「甲子園で勝つ」ために鍛えてきた高校がある。

それぞれ「壁」の形が違うが、それが高校のチームである。

 

むかし、長野県の伊那北高校を率いて義父が甲子園に出場したことがある。

戦後のことである。

 

谷間の田舎の学校だから、野球ボールを確保するために、監督も選手もいっしょになって新聞配達をしたり、炭焼きの運搬をして部費を稼いだという。

最近は、伝説になって信濃毎日新聞・長野日報などで取り上げられている。

その後、静岡に移り、清水東高校を率いて3度の甲子園監督になった。

義父はどこまでも「野球少年の育成」にこだわる高校の先生だった。

 

甲子園には、こうした地味な高校もあれば、「優勝旗」を目指して全国から選手を集め鍛えあげてきたチームも集まる。そして白球を追い、それぞれの壁を乗り越えていくために戦う。

 

バトミントンの桃田賢斗選手が、世界選手権(2018年)で優勝した。

鍛え切った完璧な勝利であった。

不祥事を起こした彼は「自分が作り出した壁」を乗り越えるために徹底的に努力したのだろう。

バトミントンという競技は厳しい。生半可で、世界レベルの大会で「勝つ」ことができない。

彼は人間的にも一回り大きくなって多くの人の前に帰ってきた。見事である。

 

歌手の新沼謙治の奥さんもバトミントンの世界女王だった。強かった。

形は変わっても、それぞれの壁を、それぞれの形で乗り越えていく。

 

(3)壁にぶち当たったと感じた人には、開き直ることを勧める

まず、不平不満をヨコにおいて「うまくいったこと」「成功したこと」「楽しかったこと」を思い出してみよう。

 

胸に手を当てて、「その時のこと」をイメージするといい。

その時、自分は輝いていたはずである。

仕事で壁を感じている人は「成功した事例」を思い出し、その時、なぜうまくいったのかを思い起こすといい。

 

きっと、そこに「魅力的な自分」を発見するだろう。

そこには「壁」はなかったはずである。

 

大きく息を吸って、思い切り吐き出すことを「3回繰り返す」。

何も考えないで手を後ろに回し、今いる「位置を変える」のも良い。

足を思い切り上にあげるのもいい。

これを繰り返すのである。職場などで、これができない環境なら「呼吸を10数える」ことに集中しよう。

 

坐禅の「数息観」のコツである。

 

信じられないほど落ち着きを取り戻すはずである。

 

状況が許されるなら、トイレに立つなど「一呼吸入れる」のもいい。

「場」を変えると、気分が変わり、発想がチェンジする。

それがダメならば、コーヒーを飲んだり、香りのよいものを嗅いだり刺激を受けるといい。

 

左脳で固まり切っていたものが、右脳に転換されて新しいアイデアが湧いてくるかもしれない。

「運動」・「嗅覚」は重要である。

 

しかし、災害・戦争・社会悪に対峙する時はこの方法ではチェンジできない。

病気・老化・ケガという壁は、別問題である。

また、仏教でいう「三毒(貪・瞋・癡(とん・しん・ち))」は、別である。

いずれの場合でも「やれるところからやるしかない」で共通している。

 

「開き直りの勧め」である。