『人間は考える葦である』は、有名なパスカルの「パンセ」の中にあります。
あなたは、これはどんなことを指していると考えますか。
これからの中学生・高校生・大学生に要求される「教養」の範囲ですから
今回は、ちょっとむずかしいですが、いっしょに考えてみましょう。
パスカルの「パンセ」
私たちは、毎日毎日、迷ったり悩んだりしていますね。
今さら「考える葦」だなんていわれても困るという人がいるでしょう。
そもそも「葦」ってなに?
そうですね。
最近見かける草ではないですね。
背の高いススキのような萱(かや)とか稲のような草です。イメージが湧かない人がいるでしょうね。
じゃ、「考える」ということと「葦」という草をどのように繋げたらよいでしょうか。
繋がる人は少ないでしょうね。
パスカルは『人間は自然の中で最も弱い一本の葦にすぎない』というのです。
どんなことでしょうか。
彼は病弱で、ベッドに寝たきりでしたから、頭に浮いてくることを、紙に書き込んでいました。
「病気が治ったら、書物にしよう」と考えていたようです。
しかし、残念なことに39歳の若さで亡くなってしまいました。
残された膨大なメモに番号をつけたものが「パンセ゚=瞑想録」です。
編集者によって番号が異なるけれど「考える葦は、パンセ゚・347番目」に分類されています。
ちなみに『クレオパトラの鼻が、もう少し低かったら、世界の歴史が変わっていただろう』もあります。
どんなことを意味しているか。
自分で調べてみてください。
面白いですよ。
「葦」と「松」から人生を考える
「考える葦」を理解しやすいように、「葦」と松の「大木」を比較してみましょう。
松の木は、外見からして「強い」ですよね。チョットやソットの風が吹いてもびくともしない。
悠然と立ちはだかっている。
しかし「葦」はチョット風が吹いただけでもヨタヨタして「弱い」です。
人生の風に置き換えてみましょう。
かなりの難問にぶつかっても「松の木=強い人」は、平気で乗り越えていく。
しかし「葦=弱い人間」は、弱いから小さなことにクヨクヨしたり、悩んだり、挫けそうになる。
実に頼りない存在です。
パスカルは、人間を「強い松」ではなく、「弱い葦」だというのです。
その通りですね。
勉強でも運動でも、自信が持てない自分を歯がゆいとおもいながら、なかなか立て直すことができない。
では、パスカルは、「なぜ人間は弱い葦にすぎない」というのでしょうか。
人生では、沢山のアクシデント(事件・事故)に出会います。
障害というには、あまりにも重い難問・課題にぶつかることもあります。
多くの場合「挫折」をします。
台風・大風が吹いて、強い大木も倒れてしまう時がありますね。
最近の災害を見ると実感することです。
「折れてしまう」のですね。
弱い葦は尚更のことです。
大風が吹かなくてもヨタヨタと倒れ、土の中(人生の苦難)に埋没してしまいます。
踏ん張る力より、倒れる力の方が強いです。
しかし、台風が去り、大風が収まった時はどうでしょうか。
強い松は倒れたまま、折れたままで立ち直ることができません。
廃材になって捨てられるだけですね。
ところが弱い葦は、やがて土の中から、少しずつ、少しずつ立ち上がり、やがて時間をかけて「復活」していくことができます。折れてしまわないからですね。
この「泥沼の中の回復力」はどこから来るのでしょうか。
この「回復する力=バネの力」はどこから来るのでしょうか。
パスカルは、これを宇宙が持っていない「人間の考える力」だというのです。
「考える力」を身につけよう!
パンセ゚の「考える葦」は次の言葉で締めくくられています。
『私たちの尊厳は、考えるところにある。私たちはそこから立ち上がらなければならないのであって、私たちが満たすことができない時間や空間からではない。だから、よく考えることに努めよう。そこに道徳の原理がある』
さて、私たちは、たくさんの「考えなければならないこと」に直面していますね。
大学受験・高校受験でも同じですね。
考えて立ち上がらなくてはならないことが沢山あります。
挫けてはならないのです。
では、視野を広げてみましょう。
「共通テスト」では、日常生活をベースにしながら、こうしたことに関心を持つようにテーマが設定されていますから、積極的に「考える力」を強化しましょう。
①私たちの「かけがえのない地球」はどうなってしまうのか
②「人生100年時代の生き方」とはどんなことか。高齢者が多い社会です
③マクロの宇宙・地球の謎はどうか。ミクロの世界の謎はどうなのか
④自動運転。モータリゼーションは「これからの暮らし」をどう変えるのか
⑤「グローバリゼーションの中」で、これから世界・日本はどうなるか
⑥東京オリンピックがあります。「日本文化の特徴とは」どんなことか
⑦地震・災害・洪水・台風が多発している。「異常気象にどう備える」か
⑧世界・日本経済はどうなるのか。「自由貿易」は保護主義に敗れるのか
⑨「地域紛争」が収まらない。「核兵器は人類を滅ぼす」ことにならないか
⑩「人工知能(AI)」は、私たちの仕事の仕組みをどこまで変えるか
⑪「医療の未来」はどうなるのか。ロボット治療・遠隔地治療はどうなるか
⑫これからの「宇宙開発はどこに向かっていく」のか
⑬私たちの生活基盤である「資源・エネルギ―」はどのようになっていくか
⑭「人間の歴史や文化」をどのように継承し発展させていくか
⑮「哲学・宗教・思想」と私たちの生き方をどのように捉えたらよいか
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上西 (日曜日, 02 8月 2020 00:13)
ありがとうございました(*´ω`*)✨斉天大聖より…
折れない心 (月曜日, 15 3月 2021 00:51)
50歳にして、大変勉強ににりました。今後も、教えて頂きたく。