もともと地上に道はない。歩く人が多くなれば、それが道となるのだ。

「もともと地上に道はない。歩く人が多くなれば、それが道になるのだ」

 

これは、魯迅の『故郷』の最後の文章ですね。

中3生が使用するほとんどの教科書に掲載されていますから、この作品に触れた人が多いでしょう。

 

この文章には「未来に対する願い」が込められています。

次の世代に対する「祈り」といってもいいです。

魯迅自身の「新中国への願いや祈り」と、卒業する「中3生・高校生への期待」が重なった文章だから、いまの時期にふさわしいでしょう。

新しい世界で、新しい可能性を求めて、「道」ができるまで頑張れという願い・祈りです。

LEADESTの基本姿勢でもありますね。

 

「故郷」の舞台、「紹興」とは

舞台は「紹興」です。紹興酒という銘酒の産地です。

紹興では女の子が誕生すると、それを祝って米で作った酒を「甕・かめ」にねかせ、その娘が結婚する時に甕から出して「祝い酒」として振る舞う風習があったといいます。

未成年には早すぎますが、大人の読者には紹興酒が甕酒であり、15年以上の常温が一番おいしいことに合点がいくでしょう。

 

むかし、私は仕事の合間を縫って紹興に行ったことがあります。

現在のように、観光化される前の「汚い旧い街」です。

魯迅の作品にでてくる「居酒屋」で飲んでいる人の周りには、食い散らかした「ひまわりの種」が地面いっぱいに散乱する風景でした。(ひまわりの種は中国人の好物です。)

「寧波」は、古くから日本からの<遣唐使や留学生>が中国大陸に上陸する港でした。

ほとんどの日本との交流は寧波が窓口でした。

私は、静岡県と中国浙江省の友好提携事業のために浙江省に行く途中でした。

 

寧波から3時間ほど、汽車に揺られてみる田園風景は、古く汚い列車であることを忘れさせるほど、広く大らかでした。

さだまさしさんの「長江」という作品がアップされたのは後日でした。

 

私は魯迅の孫の周令飛さんと親しくなったことがあります。

東京・神田神保町にある内山書店(魯迅をバックアップした書店として有名です)に中国の仕事に関連して支援を受けたので知り合いになったのです。

まだ若かった彼は中国人民政府から派遣されてテレビ局に研修に来ていたのです。いろいろなドラマがありましたが、周さんはいま、上海で活躍していると伝え聞いています。

人生のつながりはこうして広がるものだと思いました。

 

歩みを止めないことが「道」を創造する

あれから何年が経過したでしょうか?

若いみなさんの人生は多様です。

前のめりに生きていさえすれば、多様な変化についていくことができます。

人生を楽しむことさえできます。

大学へ、高校へ、中学へと「一歩前に」進んだのをきっかけにして、是非、前のめりに何事にも取り組んでほしいです。可能性は、自力で拓くのです。

 

そしていま、私自身は、自分が歩いてきた道は、果たして道になっただろうか。

私が求めてきたものは、誰の、何の役に立ったのだろうかと、自問自答しています。

 

そして、まだまだ「自分がやるべきこと」、「やり残していること」が沢山あることに気づきます。

 

「凛として生きる先輩たちの姿」が目の前にあるからです。

 

LEADESTからメッセージを発信することもその中の1つです。

 

自宅の居間に知人の書家に書いてもらった「もともと地上に道はない。歩く人が多くなれば、それが道になるのだ」という額が飾ってあります。

 

どんな方向を選んだとしても、私たちは「歩みを止めないことが道を創造する」のだと信じています。