人生100年時代の生き方:事例とヒント

今回は、保護者・社会人・大学生(講師)の方へのメッセージです。

中高生には、少し難しいかもしれませんが、これは君の将来像でもあります。

「私は何歳まで生きるんだ!」

「100歳まで生きる時代だ!」

「そんなことは、遠い先のことだ!」

「いえいえ、すぐそこのことですよ~~~」私の伯母は105歳です。

知人のお母さんは99歳ですが、現役の書家です。

私の周りには、90歳以上の人がザラにいます。

それぞれ、しっかり化粧して、よく食べて、よく寝て元気です。

一方、弱い人がいるのも事実です。

今回はその中から「いいな」と思った8人の方を紹介します。

それぞれ、全く方向・分野が違いますが「生きるヒント」になれば幸いです。

 

1 若宮正子さん:好奇心を燃やし、あくなき探求心を持っている

若宮さんは、私の直接の知人でも友人でもないですが、彼女は素晴らしいです。

「パソコンのエクセル」を駆使してデザインをつくり、それを気軽に教えて仲間を増やしている人です。

定年退職後始めたそうですが「好奇心旺盛」でマスターする実行力が素晴らしい。

新しいことを学ぶことが楽しいのですね。

ご自身でアプリ(ゲーム)を開発して、国連で演説までこなしています。

有名な番組の「TEL」に出演し「アップルCEOと対談」をこなすなど、華々しい活動をされています。

84歳の彼女の「好奇心」こそ、人生100年時代を生き抜く「知恵と力」があると思います。

まず、基本は「好奇心と実行力」です。

 

 

<若いときから気をつけたいこと> 

IT技術は、生活上どうしてもマスターしなければならないことである。これからは、<AIITへの関心>を深め、できるだけ開発と運営能力を高めたい。

 

2 小林道夫さん:演奏家のプロとして、凛として妥協なく技術を磨く

私は、12月21日(土)は、上野・東京文化会館で「小林さんのチェンバロ演奏」を聴くことにしています。

J・Sバッハの「ゴルトベルク変奏曲」です。約2時間。

まさに妥協を許さないプロの演奏です。

小林さんは86歳のはずですが、今年も、「演奏家として気概を持ち、プライドの高い演奏」を聴かせてくれるはずです。

私の、年末の恒例の行事の1つです。

プロスキーヤーの三浦雄一郎さんがマスコミをにぎわしていますが、作家の瀬戸内寂聴さん・曽野綾子さん・佐藤愛子さんなど、「毅然」として強いメッセージを送っていますね。見事です。

年配者としてどなたも凛として美しいです。

「老いに妥協しない」生き方は、私たち後輩が見習うべきことです。

 

<若いときから気をつけたいこと>

人生には「素人もプロもない」。人間は誰も必死に生きている。プロの矜持から学ぶことが沢山ある。甘えや言い訳を削ぎ落とした生き方を見習いたいです。

 

3 中村修一郎さん(仮名):友人とのコミュニケーションを大切にする

友人の中村修一郎さんは、15年以上「抒情歌を唄う会」や「憲法を語る会」を主催しています。

彼の基本方針は、誰にも「強制しないこと」である。

自由に参加し、楽しく、お互いを大切にする会だから、上も下もないのです。思想を超えて、「人間としてのコミュニケーション」を大切にしているので長続きしているのです。

参加する人も去る人も自由です。

人間は孤独にならないための「止まり木」を必要としています。

「帽子や洋服を掛ける止まり木(ピグ)のように、友達・仲間を必要とする時があるから」と中村さんは言います。

いろいろなタイプの人と楽しく付き合うことができる。

その機会を率先して作っているのは素晴らしいです。76歳です。

 

<若いときから気をつけたいこと>

人間は、一人だけでは生きていけない。自分を大切にするように、他人も大切にしなければ「孤独から逃げる」ことはできない。「孤独への勧め」に共感しない。

 

4 薮崎雅代さん(仮名):健康管理に留意し、生活の中に運動を取り込んでいる

幼友達の薮崎さんは「ジムに通う高齢者」です。

彼女はプールで歩くより、バタフライをしています。

「腰の痛みの解消になるのよ」と笑う。

先日は、白内障の手術をするかどうかで相談に来ました。

平日のジムは高齢者でいっぱいです。

「運動を生活の一部として組み込んでいる」からですね。

特に元気なのは、中・高年齢の女性です。

彼女たちはヨガやエアロビックスを楽しんでいますが、何よりも「健康寿命」について関心が強く持っていますね。

 

<若いときから気をつけたいこと>

 

運動不足から来るストレスを避けたい。生活の中にスポーツを楽しむ時間を確保したい。肉体を動かす習慣ができることが望ましい。「化粧より健康」である。

 

5 水野英雄さん(仮名):過不足ない金銭感覚を持ち、経済活動に関心を持つ

水野さんは「死ぬまでにいくら必要か」という金融会社のCMは、若年の営業マンの発想だという。

どんなに金持ちでも、高齢者にとって、日々減っていくおカネはいくらあっても「不安の解消」にならないという。

これからは年金だけでは生活できないのだから、「もっと子供のころからおカネのことについて勉強するべきだ」と言う。

経済とか金融とか、難しいことを言うのではなく、カネに強い人間にならなくてはならないという。

彼はカネの貸・借を絶対しない。

 

<若いときから気をつけたいこと> 

楽しく長く働いて、収入のある活動が望ましい。豊かな生活を築く知識と技術をマスターしたい。豊かさとは「カネモチ」「トキモチ」「トモモチ」である。

 

6 大畑博さん(仮名):社会的な役割と責任を果たすことに情熱を傾ける

大畑博さんは78歳。

地域のこどもたちを中心とした「和太鼓」の育成組織をつくって30年になります。

衰えていく地域文化の伝承と後継者の育成を目的として活躍しているのです。

また大畑さんは多くの人に呼びかけて、伝承や風習など文化の掘り起こし運動もしています。

しかし最近は、地域に居住する外国人が多くなり「言葉が通じない」ので困っていると嘆きます。

地域コミュニティ造りは「私たちの世代の役割だ」という強い気持ちが支えになっているようです。

 

<若いときから気をつけたいこと>

定年後は地域活動やボランティア活動をせよという人がいるが、簡単なことではない。若い時から、少しずつ活動に馴染む努力を確保しなければできない。

 

7 望月武夫さん(仮名):Do It Yourselfの知識と技術をマスターする

イギリスで生活した経験がある望月武夫さんは82歳。

「自分で出来ることは自分でやる」という姿勢ですから、何でも自分自身でやる努力をしています。

「DIYの知識と技術」をしっかりマスターしているからできるのです。

彼の家の本棚、机、椅子、ベッドは彼と仲間の「手作り」です。

日曜日など休日になると、多くの仲間たちがいっしょに何かしら作っている。

経験のある人が集まっていますから、いろいろな技術・知識が集積されて、創造性豊かの作品が並びます。

勿論、壁の塗り替えも他人任せにしないです。

奥さんも仲間の一人だから、ガーデニングを愉しんでいます。

地域の「花の会」にも参加しています。

 

<若いときから気をつけたいこと> 

専門家に頼らないで、自分で生活を工夫する姿勢・技術・知識・習慣を持つことが大切である。ビジネスを離れて「生活を楽しむこと」がDIYの基本である。

 

8 井倉輝久さん(仮名):イロとオトを楽しむ生き方を貫く

井倉輝義さんは92歳。

「展覧会に出品した作品が入選したから観てほしい」というハガキが届きます。

彼は、文楽が好きで、お願いすると「義太夫」を聞かせてくれます。プロのようで見事です。

また友人たちと時々「写真展」を開き招待してくれます。

書道の指導もしているし、「篆刻」はプロの腕前です。

また、地域の卓球大会に出場しカップを取ってきます。

昔、小学校の校長先生をしていたし、教育委員会で生涯学習のリーダーだったから、まさにスーパーマンです。

何よりもいっしょにいて楽しいのが最高です。

私の師匠です。

 

<若いときから気をつけたいこと>

興味があることを実践することが、「健康寿命」をのばす。自分の手足を使う。老化による「生命力の枯渇を補う」ためには、若いときから「遊び方」「学び方」「コミュニケーションの取り方」「3種類以上の趣味」をマスターすることだ。

 

どんな人でも、いつまでも健康で元気で生きていたいと願ってますね。

しかし、現実は甘くありません。若いときが「永遠ではない」からです。

人間は必ず歳を取り、老いていきます。

病気にもなります。だから、若いときから「逞しく生きていく知恵・技術」を習得していくことが大切です。

私が「事例」として取り上げた先達たちから、「生きるヒント」を発見し、人生の糧にてくださると嬉しいです。