「AIと量子コンピューター」による大変革の時代が来た ~後編~

現在多くの企業が採用している人工知能は「機械学習」と呼ばれるものである。

 

機械学習は、人間による知的作業のうちの「論理的な推論を代替する技術」である。

だから、音声や画像、テキストなどのデータを「事前に機械に学習させておく」ことによって、新しいデータを見たときに、自動的に”推測”可能になる。

 

AIにつながる機械学習はデータの規則性などを糸口に人間に代わり判断するからである。量子コンピューターはこうした「組み合わせ最適化」を得意とする。

創薬や画像認識などで効果が大きく、米ロッキード・マーチンは「ステルス戦闘機開発」に活用した。

 

AIは戦争でも大きな働きをする。

怖い武器である。

 

教育の分野では、リクルートやソフトバンクなど、これまで教育には関係してこなかったIT業者が、生徒の入試合追や模試データを大量に使い、「推論」を働かせ、計算能力をもって、「演算」機能を発揮し、教育地図を書き換え始めている。

 

近年中に、「アルゴリズムは教育環境を変えてしまう」だろうと、私は予測する。

教材の選別から、オンデマンド教材の提供までである。

 

AIが教育を左右する時代である。

しかし、困ったことに教育関係者の中で、こうしたことに詳しい人が少ない。

 

「新テスト」による教育改革は、この変化を読み込んで推進されていると思うのだが…。

2025年あたりには、教育環境はガラリと変わっているはずである。

 

 

医療の世界と「AI」

医療の世界での「AI活用はEnlitic社の画像診断システム」や「IBMのwatson」を用いた診断システム等があり、一部はすでに運用されている。

 

すでに、AIは「臨床の手助け」をしているだけでなく、「基礎研究と臨床現場の橋渡し」をしており、それによって、診断や治療方針、新薬の開発などの場面で、想像を絶する効率化と正確性を実現しつつある。

 

例えば、IBMのワトソン(watson)は、白血病患者の病名を手早くみぬき、「生命を救った」という報告がされている。

また、癌細胞の解明に重要な役割を果たしているし、レントゲンやCTの画像解析にはAIは欠かすことができない。

これに「量子コンピューターを搭載したAI」ができたら、AIが果たす役割はとてつもなく大きくなる。

こうした事例は沢山報告されているから、注意して拾っていきたい。

 

東京工業大学が川崎市などと協力して、スーパーコンピューターや人工知能(AI)を活用して中分子と呼ばれる「新しいタイプの医薬品の開発」の取り組みを始めるという。

 

従来の医薬品に比べて膨大な計算が必要になるが、スパコン「TSUBAME」を活用するとともに算手法の改良」などで克服、開発効率化につなげるのだという。

実用化は着々と進んでいる。

 

自分の身近にも、レントゲンの画像診断で病気を発見することができなかったために、治療が手遅れになった事例がいくつもある。

「難病」といわれるままに、治療方法もわからないまま死去していった友人・知人を思い出すと「何とかならないか」といつも思う。

自分自身の体験でも、放射線医師と臨床医の連携がスムーズであるばかりではなかったことがある。CTもMRIも、人間の判断より、AIの判断の方が正確であるという場合があると聞く。

 

病院に行っても、臨床医が、「検査結果のデータ画面をパソコン上で見るだけ」で、患者をロクに正視しないで診断する場面も多く見かける。

 

だから、私の友人は「将来医者という職業はいらなくなる」と笑う。

いまこそ、AIやコンピューターを使いこなす「知性」「技術」が期待されていると捉えるべきだろう。

 

繁栄と破滅は表裏一体

 

 

最近注目されている「将棋」を例に取れば、「新しい手」は即座に記憶され、「次の手」を要求する。

AIとAIが将棋盤を挟んで、次々と新手を編みだしていく。

果てしない戦いは、人間を抜きにして展開するだろう。

こうした事例をイメージすれば分かりやすい。

 

金融・投資の世界では、AI やコンピューターなくしては、いまやビジネスが成立しない。

AI の予測と判別の精度をあげて、「人間に近づくもの」と考えるなら、大企業でも個人でも、実用にたるAIの開発は進むだろう。

 

実際に、モック(試作品)程度のものは、少し勉強した人には制作可能であるから、AIを使って「ラーメン屋の画像検索している」というニュースも本当だろう。

楽しいではないか!

 

量子コンピュータやAIが作り出す世界は、期待と不安を同時に強く感じさせる。

「肉体を持たない機械」の発展を、空想の世界・SF小説のようなものとして捉えることで終わらせる時代ではなくなってしまった。

 

全てが「紙一重だ」である。

「AIがAIと議論する」という仮説も無視することができない。

 

すでに、企業の採用試験の1次試験(書類審査)でAIを使っている会社もあると聞く。

融資やホテルのチェックインもAIで「格づけ」しているところがあるという。

このテンポがドンドン速くなっている。

 

「のんびり」「ゆっくり」という価値観が希薄になっていく。

「未来社会はわからない」ことが多い。

 

しかし、分かっていることは「人間が人間であるプライドをなくした時」は、世界はどこかに行ってしまうということである。

 

「繫栄と破滅は表裏一体」の時代に突入した。

これは、企業も組織も個人も同じである。

 

「AIと一緒にできることを考えるのがベターではないか」という意見があるが、その前に、AIのこと・古典的なコンピューターのこと・量子コンピューターのことについて、基礎的な知識だけは持っておきたい。

 

これは必須である。